スクールロイヤーを直訳すると「学校内弁護士」
日本ではあまり馴染みがありませんがアメリカでは一般的な制度で、各学校や自治体ごとに担当弁護士がいるのがごく普通です。
文科省ではいじめ問題に、弁護士の知識や経験を活かして何とか歯止めをかけたいと、予算を要求していました。
そして2018年度、日本でも調査研究費用として約5000万円の予算が計上され、スクールロイヤー制度に国が動き始めました。
NHKでは度々取り上げられていましたが、神木龍之介さん主演でドラマとしても登場。「やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる」というタイトルで放送も開始されます。
今回はそんなスクールロイヤー制度(学校内弁護士)について、説明していきたいと思います。
スクールロイヤーとは
スクールロイヤー制度とは、
学校内で起きるさまざまな問題に対して、
学校側が派遣された弁護士に相談できる制度です。
2017年度は実験的に大阪府と岡山県の2ヶ所で導入され、調査研究が行われている段階なんですね。
2018年度は予算も5000万にアップして、全国10箇所に拡大しようとしています。
ただ、いじめ被害者側の代理人として派遣されるというわけではないので、そこのところは勘違いのないように…。
教育委員会と弁護士会の連携のもと、学校に弁護士が派遣されますが、派遣された弁護士は、教育委員会・学校側の代理人という位置づけです。
また派遣された弁護士は事実関係の調査や法的責任の検討などを行うことになるようです。
スクールロイヤーに期待される3つの役割
スクールロイヤーに期待されているのはやはり「いじめ」問題です。
文部科学省は、いじめの予防教育、学校での法的相談、法令に基づく対応など、大きく3つの役割を期待しています。
1.いじめの予防教育
弁護士が学校で直接指導するという形ではなく、モデルケースとなるような授業の組み立てを考えたり、教材にも携わるという感じでしょうか。
例えば、1人一人の人権の大切さ、いじめは刑事罰の対象となる事や場合によっては損害賠償責任が生じるというような内容を盛り込むものになります。
2.学校での法的相談
主に学校や教員への支援としての法律相談。
「かけこみ寺」のように、生徒や先生達が抱える問題に対して法的な相談を行うものではないんですね。
派遣された弁護士が、学校側に法的なアドバイスを行ったり、教職員に向けた研修を行います。
3.法令に基づく対応
学校がいじめ問題などに適切に対応しているか「いじめ防止対策推進法」に沿ったものになっているか、弁護士が確認します。
まずはいじめ問題から取り組みが始まりそうですが、学校はさまざまな問題を抱えているので、これからは「いじめ問題」以外の活躍も期待できそうです。
スクールロイヤーをテーマにしたドラマ
NHKでは、スクールロイヤーをテーマにした神木龍之介さん主演のドラマ『やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる』がスタートします。
全6回で、神木さんが演じる学校弁護士(スクールロイヤー)が、派遣先の学校で起こるさまざまな問題、いじめ、体罰、モンスターペアレント、教師のブラックな労働環境など、崩壊寸前の教育現場に立ち向かっていくいくというストーリー。
弁護士ドラマはたくさんありますが、スクールロイヤーに関するドラマは初めての試みになるので、注目を集めそうですね。
まとめ
アメリカでは一般的なスクールロイヤーですが、日本ではまだまだ始ったばかり…
制度が導入されたことで、いろいろな期待は高まりますが、今後、多くの課題を解決する必要がありそうです。
ただ、スクールロイヤー制度の本来の目的は、やはり「いじめ問題の予防」にあると思います。
文科省が期待するように、人権や、いじめに対しての知識を教え認識することで、少しでもいじめの防止につなげることができればと思います。