高齢者の運転事故が増えているのに、免許返納は思うように進んでいません。
大きな事故が続くと、運転する人もそして周りも、心配は大きいですよね。
高齢者の免許返納はなぜ進まないのか。
交通安全対策のために国が行った「運転免許証の自主返納に関するアンケート結果」でわかってきたことがあります。
- 自主返納者に対する支援制度が知られていないこと
- 受けられる特典に対して必要な支援が不十分であること
- 地域性から見た車への依存度
などが主な理由です。
今回はアンケート結果をもとに高齢者の運転問題に焦点を当て、考察していきたいと思います。
免許返納の年齢を判断するきっかけになればと思います。
高齢者の免許返納はなぜ進まない?
65歳以上で15年に運転免許を自主返納したケースは、27万件。
数字としては10年前の15倍ですが、それでも65歳以上の免許保有者の2%弱でした。
その後、高齢者の事故が起きるたびに、免許返納の特典やメリットなどが紹介されるようになり、かなり認知度は上がってきています。
ただ、求める支援と、現在の特典やメリットが合致していない、見合わないところが大きな壁になっています。
高齢者が免許返納をためらう理由
高齢者が免許返納をためらうのは、買い物、送迎、通院、仕事など「車がないと生活が不便になる」というのが主な理由です。
運転と生活が直結しているということですね。
特に小さな町や村ほど、車は外出する上で欠かせない、いわば生活の一部になっています。
都会に住んでいたら分からないかもしれませんが、山間部などではバスが1日に数本しかないところも多く、車はライフラインの1つともいえます。
そんな場所で車が運転できなくなったら、生きていくための足を奪われるように感じてしまう高齢者もいるでしょう。
今の生活が続けられなくなるという不安の大きさが、免許返却に大きく影響しているんですね。
高齢者の免許返納に必要な支援とは
現在の免許返納の特典やメリットの多くは
タクシー代1割引きや、銀行利子がわずかに増える、温泉の割引券…など、はっきり言って現実的な支援とはいえないものがほとんどです。
しかし、本当に必要で役に立つ支援は、「交通機関の発達」や「交通手段に関する支援の充実」です。
小さな村や山間部なら、乗り合いタクシーやコミュニティバスの割引など、車に代わる交通手段が発達しなければ、なかなか理解は得られないのではないでしょうか。
「交通手段に関する支援の充実」は、免許返還の大きな課題と言えます。
自主返納を考える年齢・タイミング
高齢ドライバーの事故のニュースが流れると、自分の両親や祖父母の運転に不安を感じる人も少なくありません。
しかし、家族がいくら心配したところで、免許を持ち続けるか否かを決断するのは本人です。
人によって事情が違うので一概には言い切れませんが、多くの方は75歳を超えたころから免許返納を意識するようです。
そして、自主返納を決めた理由で多かったのは、やはり判断力・運転能力の衰えでした。
自主返納を決めた理由
- 運転に自信がなくなった
- 運転が不安になってきた
- 家族からの相談
- 家族を安心させたい
- ブレーキとアクセルを踏み間違えた
- 健康のために車を止めて歩こうと思った
- 視力や判断力の衰えを感じ始めた
このように感じてきたら、免許返納を考えるタイミングかもしれません。
まとめ
高齢者の免許返納はなぜ進まないのか、
運転免許と引き換えに得られるものが、
あまりにも小さいというところにあります。
都市部に住んでいる人でも生活が不便になると感じているのですから、村や山間部などに住む人にとっては、まさに死活問題ですよね。
年を取ったら運転免許を返納しなさいという風潮がありますが、一概にそうとは言い切れません。
その意味では運転技術を判断できる高齢者講習制度は、大きな前進だと言えます。
あくまでも個人的な意見ですが、年齢によって免許を取り上げるのではなく、限定条件付きの免許という形も検討できないかと思います。
たとえば、運転できる範囲を限定して、対象車には表示を義務付けるような措置です。
なかなか難しいかもしれませんが、地域で協力して取り組むことは可能かもしれません。
必要となる支援が難しければ、現状で事故を減らすためにはどのような策があるか、広い意見を吸い上げ、検討することが大事だと感じます。